南天を生ける

いけばなについて

南天は一年中生けることができますが、今回はちょうど花の時期になります。
花は5月〜6月ごろ葉の先端に穂状に白い小さい花を咲かせます。

メギ科の常緑低木、中国原産で江戸期以前に日本に伝わったといわれています。
実は秋に赤く実り、漢方では咳止めの薬として使われます。葉も秋に紅葉します。


古来より「難を転ずる」=「なんてん』の語呂から縁起の良い木として庭に植栽されます。

いけばなでは枝の自然の屈曲を生かして生けます。
この時期は葉が繁っているので適宜カットして枝を整えます。
枝は弾力がありますが、手で曲げると折れやすく、また曲がりが戻ってしまうので、ある程度の太さがあるものは「楔撓め」という技術を使って形を整えていきます。

細い部分は「炙り撓め」といって火で炙って曲げます。

楔撓め(くさびため)

南天など太く、固く折れやすい枝を曲げる時に使われる技術です。
ノコギリで枝を切り、そこに楔型に切った枝を差し入れて曲げていきます。正確にノコギリで切らないと捻れて曲がってしまいます。

楔と枝の間に隙間がなく入れば合格です。あまりたくさん入れてしまうと、水を吸い上げなくなり、枯れてしまいます。

また、南天は頭頂部に葉や花が密集して重いので、注意が必要です。