椿と山茶花

自然

椿と山茶花はとてもよく似ている花です。両方ともにツバキ属ツバキ科の植物で園芸改良も古くから盛んに行われてきたため、椿と山茶花の交配種もあり、厳密に分けるのは難しいですが、一般論としては以下のようにして見分けます。

椿の花は立体的なものが多く、開花は12月〜4月
匂いは無いです。
また、雄蕊の下の部分がくっついているものが多いです。
椿の花は「合弁花」と言って花びらがもとでくっついています。花が散る時は花ごと落ちます。

山茶花の花は平面的なものが多く、開花は10月〜3月と椿よりも早く咲くものが多いです。
芳香があります。
雄蕊の元がバラバラになっているものが多いです。
花は散る時は花びらが散ります。

椿は葉の縁のギザギザが目立ちません。葉は艶やかで、山茶花と比べると大きいです。

山茶花は葉の縁のギザギザが目立ち、椿と比べるとやや小さいです。

椿の枝は種類にもよりますが、屈曲して、やや暴れた感じになります。枝の線が美しく、風情があるため、いけばなや絵画の題材にされたりします。庭木としても庭園などに植えられます。

山茶花は枝は比較的まっすぐに伸び、葉も小さく密集しているので、刈り込まれて生垣にされることが多いようです。

 武士と椿

上述したように、椿は散る時に花ごと散ります。その様子は「潔い花」とされ武士の屋敷によく椿の花が植えられていました。
黒澤明監督の映画「椿三十郎」では悪事を働く家老黒藤の屋敷は「椿屋敷」と呼ばれ、そこに三船敏郎扮する三十郎が一人乗り込み、泉水の水に椿の花を流すのを合図に隣の屋敷の若い武士たちが切り込むというシーンがあります。

椿といけばな

椿の中でも「薮椿」は枝が屈曲して、風情のある姿が好まれて、画題やいけばなの花材としても扱われました。
いけばなでは「一花一葉」で生けられました。

椿と茶道

茶道で床間に飾る冬の花の代表は椿です。「炉」の季節(11月〜4月)、花が少ない時期に咲く椿は茶人が好んで茶花として生けられました
椿にはたくさんの園芸品種があります。
白玉椿、臘月、侘助、加茂本阿弥、西王母、太神楽、曙、卜伴、太郎庵など

椿の品種